第7話

制裁

 美人看護婦が血まみれの服を脱ぎ、シャワーを浴び、必死で手を洗っている。
 そこへフラックが踏み込み、逮捕。
 アパートメントの前には、彼女をレイプしたと目される道楽息子がナイフだらけの死体となっていた。
 これで彼女が犯人だったら番組開始30秒で話が終わってしまうところだが、彼女は犯行を否認する。死んだかどうかを確認しただけだと。
 その後の調べで、男はスペインの闘牛士が牛を殺すようなやり方で嬲り殺されていることがわかる。
 一方、美術館の前では、広告会社に勤める女性の銃殺死体がみつかる。
 話はどんどん入り組み、深みに入り、前方には霧がかかり、なにもわからなくなるが、地道な科学捜査の結果、すべての霧がきれいに晴れる。見事な出来。
 でも、ちょっと複雑すぎて、よほど神経を研ぎ澄ませないと、途中でめげそうになる。この緊張感がNYの特徴かも。展開のスピードだけではない。人間の複雑さがそのまま犯罪の上に表現されているせいだ。

公園で男性の刺殺体が発見される。被害者は、億万長者の息子、ミッチェル・ベントリー3世。殺人未遂とレイプの罪に問われながら、敏腕弁護士を雇ったおかげで無罪となった過去がある人物だ。容疑者には、公園の向かいのアパートに住むファーン・ラズローが浮上。彼女にはベントリーにレイプされたとして訴えた過去があり、血まみれで現場から逃げ去るのが目撃されていた。フラックはアパートに踏み込み、血を洗い流した直後と見られる裸のラズローを逮捕。マックとステラが捜査を開始する。
その後の調べで、ベントリーの死体の首にラズローの指紋が付着していたことが判明。殺人の動機も十分なことから、フラックは取り調べでラズローを追及する。しかし、彼女は真っ向から事件への関与を否定し、黙秘を決めこむ。そんな中、凶器のナイフにはラズローの指紋が付着していなかったことが明らかに。代わりに、身元不明の女性の上皮細胞が採取される。また、マックはベントリーの刺され方が闘牛に関係していると指摘。計画的犯行との見方を示す。
やがて、ベントリーのズボンに付着していた繊維が手がかりとなり、彼が前夜、「カサ・デル・マルタドール・グリル」というレストランで女性と食事をしていたことが判明。店に足を運んだステラとフラックは、ベントリーたちが座っていた席でダイヤモンド付きの高価なアイラッシュ(つけまつげ)を発見。これにより、出版社を経営するアンバー・スタントンの存在が捜査線上に浮上する。マックとフラックは早速彼女の会社へ。スタントンは、仕事の打ち合わせでベントリーと会っただけだと説明して事件への関与を否定するが、マックは彼女から得意気な雰囲気を感じ取る。
その後、フラックはエンジェルとともに、車内からスタントンの見張りを続行。それに気付いたスタントンは、車に乗り込んできて挑発的な態度をとる。フラックは、彼女が車内に残していった毛髪を回収。すぐに、凶器のナイフに付いていた上皮細胞のDNAとの比較が行われる。しかし、結果は一致せず。やはり、犯人はラズローなのか?
一方、博物館の警備主任マット・フェラが、博物館の階段で女性の射殺体を発見。ダニー、リンジー、ホークスが捜査に当たる。所持品から、被害者は広告会社を経営するジョアンナ・モーガンと判明。死体の状況を調べたホークスは、背中の銃創が射入口で、胸の銃創が射出口と見られることから、ジョアンナは背中から撃たれたとの見解を示す。周囲には凶器の銃が残されていたものの、貫通弾は見当たらなかった。
調べは進み、発射残渣が背中より胸に集中していること、ジョアンナのバッグの中にも発射残渣があり、銃には彼女の指紋しか付着していなかったことが明らかになる。ホークスの所見とは矛盾するが、ジョアンナは胸から撃たれたのだろうか?
シドはジョアンナの検視を行い、射入口が射出口のように見えたのは、銃口を押しつけた状態で撃たれたためで、射出口が射入口のように見えたのは、背後に誰かかピッタリとくっついて立っていたためだという仮説を唱える。ホークスもこれに納得し、ジョアンナの胃の内容物の分析にとりかかる。
ジョアンナの背後に犯人がいたのであれば、犯人は貫通弾を被弾している可能性が高い。ダニーは、銃による負傷者がいないか市内の病院に問い合わせるが該当者はなし。リンジーとともに現場に戻り、改めて貫通弾を捜すことにする。当初とは逆の方向を調べ始めるダニーとリンジー。間もなくダニーが、円柱に弾痕を発見。リンジーは、救急キットで作った即席のパチンコで弾痕に向けて弾丸を飛ばす。この実験が功を奏し、2人は見事貫通弾の回収に成功。その後の調べで、貫通弾には男性のDNAが付着していたことが明らかになり、犯人は肩のあたりを負傷している人物に絞り込まれる。
その後、バラバラにみえた2つの事件をつなぐ鍵が出てくる。ベントリーの殺害現場に落ちていた絆創膏に付着した靴跡が、イアン・バートンというブランドのものと分かったのだ。しかも、この靴の購入者リストに、射殺されたジョアンナの名前が含まれていたことが判明。CSIは、ジョアンナ、スタントン、ラズローの共通点を洗い出し、3人とも性的暴行の被害者であり、ジョアンナとスタントンには驚くほど共通点が多いことに着目する。マックは、ジョアンナを殺害した犯人が分かれば、事件のつながりが見えてくると推測。メンバーたちに、見落としているものはないか調べ直すよう指示する。
やがて、ジョアンナの胃の内容物を調べていたホークスが、有力な手がかりをもたらす。食中毒を引き起こす珍しい細菌を見つけたというのだ。その細菌には細胞を変化させる力があり、DNAをも変化させる可能性を秘めているという。もしかすると、スタントンの毛髪のDNAが凶器のナイフに付いた上皮細胞と一致しなかったのは、この細菌の影響かもしれない。
ダニーとリンジーは捜索令状を携え、スタントンの自宅を訪ねる。そして、彼女の部屋でイアン・バートンの空の靴箱を発見。そんな矢先、食中毒でERに駆け込んだスティーヴ・キャプランが取り調べを受ける。肩を負傷しており、もはや言い逃れはできないキャプラン。彼は、ジョアンナを撃ったのは確かだが、正当防衛だったと弁明。以前、モデル殺害の容疑で逮捕され、無罪になった経歴があるため、警察には通報せずに逃げたのだと説明する。
その後、ベントリーの殺害現場で見つかった絆創膏に付着していた紙くずが、ロングアイランド鉄道の切符のパンチくずと判明。同路線を利用するスタントンに再び容疑の目が向けられる。マックとダニーは、スタントンとジョアンナが電車の中で親しくなり、靴などのプレゼントを交換するような間柄になったのではないかと推論を展開。取り調べで黙秘を貫こうとしていたスタントンも、自宅のヘアブラシに付いていた毛髪がベントリー殺害の凶器に付いていた上皮組織と一致したと告げられると、すべてを自白する。ジョアンナと親しくなり、互いにレイプの被害者であると打ち明け合ったこと。罪人が罰せられずに無罪放免になるのが許せなかったこと。スタントンは、ラズローをレイプしたのに罪に問われなかったベントリーをターゲットに選出。ラズローの目に触れる場所で彼を殺した。ジョアンナの狙いは、博物館の警備主任マットの婚約者を殺しておきながら無罪となったキャプランジョアンナは、マットの目に触れる場所で彼を殺すつもりだったが、抵抗されて逆に撃たれてしまったのだ。悪びれもせず、自分は正義の調停者だと開き直るスタントン。マックはそんな彼女に対し、「正義とは良心であり、良心を失えば何も残らない」と苦言を呈すのだった…。

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