第19話

モルグに別れを

 さよなら、アレックスの回。
 息子が巻き込まれた事件もぶじ解決したから、アレックスがモルグを去る特段の理由はなく、アレックス役を演じているカンディ・アレクサンダーの都合なのかなという気がする。←舞台の主演らしい。
 ラストシーンの数分間はセリフがひとつもなく、アレックスが「心落ち着く場所」であるモルグを愛撫するように片付け、CSIを去っていく姿を描いている。CSIの検死官はみんな格好いいよなあ。

 事件そのものは、ちょっとあり得ないシチュエーションという気がする。情報屋を麻薬で操るなんてこと、あるかなあ。まあ、ないことをやるから犯罪なのかもしれないが。
 情報屋の女の子(キャサリン・メーニッヒ)はたいへんかわいかった。

 早朝の海。水上バイクを楽しむ男女が橋の下を通過しようとすると、男性が何らかの衝撃を受けて海に転落。頭部に致命傷を負って死亡する。現場にはホレイショらCSIが到着。トリップは一緒に水上バイクをしていたメアリーから事情を聞くが、彼女は今朝男性と知り合ったばかりで名前すら知らないと言う。アレックスは、男性の髪に絡まった破片のようなものを発見。これにより、橋の上から投げ落とされた何かが被害者の頭を直撃した可能性が強まる。
 所持品のIDから、被害者は麻薬密売の罪で服役し、刑務所を出たばかりのジム・ファーバーと判明。デルコは海に潜り、橋の下から数メートルと離れていない場所で、ジムの髪に絡まっていた破片と同じ色の敷石を見つける。おそらく、犯人は橋の上からこの敷石をジムめがけて投げ落としたのだろう。敷石の裏には、文字の書き込みが残されていたことも明らかになる。
 ウルフとナタリアは、犯人の痕跡を探すべく橋の上へ。そこで、錠剤を1錠発見する。ラボに持ち帰って分析した結果、錠剤は「Y2K」と呼ばれる麻薬であることが明らかになる。これは、2000年にジムが流通させ、彼の逮捕以降あまり見かけることがなかったものだ。ジムの釈放と同時に「Y2K」が見つかり、同じ日にジムが殺されたというのは、単なる偶然の一致なのか?
 カリーはFBIに赴き、2000年にジムを逮捕したシルヴェストリから事情を聞く。「売人は必ず売人に戻る」と信じている彼は、犯人は客かもしれないし商売敵かもしれないと語るのみ。ジムは同業者や客の名前を一切明かさなかったため、心当たりはないと話す。
 ナタリアは、凶器の敷石を扱っている造園業者の割り出しに成功。ホレイショとともに、従業員の話を聞きに行く。その結果、敷石は確かにその店で販売されたものであることが判明。裏に書かれた文字は、敷石を設置する場所を顧客自身が書き込んだものである可能性が出てくる。そして、ホレイショとナタリアを驚かせる衝撃の事実が発覚する。敷石を購入したのは、アレックスの夫ヘンリー・ウッズだったのだ。ホレイショは、ひとまず独自に調査を進めることにする。
 一方、敷石の裏に書かれていた文言が「ジェイミーの窓、左の舗道」だと知ったアレックスは、それが自分の家の庭に敷くためのものだったことに気付く。ヘンリーと連絡を取ったアレックスは、息子のブライアンを署に呼び出して、最近家に遊びに来た友達はいるかと尋ねる。ブライアンは、庭の敷石が男性を殺害する凶器として使われたと聞かされても素知らぬそぶり。誰かが庭から盗んだのではないかと言って話をそらす。
 そんな中、ホレイショはアレックスの家の庭でタバコの吸い殻を採取。ラボに持ち帰って、バレイラにDNA鑑定を依頼する。その結果浮上したのは、ブライアンの友人トレイ。ホレイショはトレイを尋問するが、彼は事件への関与を否定する。
そんな矢先、アレックスにブライアンから電話が入る。大変なことが起きたのでグローブ通りの倉庫まで助けに来てほしいというのだ。事情が分からないまま、アレックスは倉庫へ。そこで、ナイフで刺されて出血しているトレイと、非常事態に動揺するブライアンの姿を発見する。アレックスは、取り急ぎトレイに止血の処置を施してから警察に通報。間もなく、救急隊とともにデルコが現場に到着する。アレックスは、ナイフを抜いただけだというブライアンの主張をデルコにも伝え、息子の無実を必死で訴える。デルコはアレックスの言い分を信じ、ナイフの指紋よりも付着した血液の分析を優先させることに。アレックスは、姿を消したブライアンの行方を追う。
 ナタリアはデルコから預かったナイフの分析を担当。指紋には触れずに、柄の根元に挟まっている上皮組織の鑑定を急ぐ。その結果、なんと上皮のDNAは、今朝ジムと一緒に水上バイクをしていたメアリーのものと判明。取り調べを受けることとなったメアリーは、「Y2K」をめぐるトラブルでトレイを刺したことだけは認めるが、ジム殺害については否認する。
 そんな中、警察は橋の上にいるブライアンを発見。現場に急行したホレイショが、彼の身柄を確保する。しかし、事態はブライアンにとって不利な展開に。彼は、ビニール袋に詰められた「Y2K」入りの紙袋を所持していたのだ。ホレイショは、真実を話すようブライアンを説得するが、誰かをかばっているのかブライアンは黙秘を貫く。
 その後の調べで、「Y2K」が詰められていたビニール袋に、シルヴェストリの指紋が付着していたことが明らかになる。FBIを訪ねたホレイショは、指紋が付着した経緯についてシルヴェストリを問い詰めるが、彼は捜査のために配った偽の麻薬の袋を麻薬中毒者に再利用されただけだと弁明する。
 アレックスは留置所に足を運び、すべてを話すよう改めてブライアンを説得する。このままでは犯人として裁かれかねないと自覚したブライアンは、泣く泣く真実を語り始める。負傷したトレイから連絡を受けて倉庫に行き、彼から「Y2K」を家から持ち出して始末するよう頼まれたこと。そして、トレイが庭から敷石を持ち出したことも…。ブライアンは、友人であるトレイとの約束を守ろうとしていただけだったのだ。
 カリーは、病院に運ばれたトレイを訪ねる。そして、ジム殺害について再度尋問。もはや言い逃れはできないと悟ったトレイは、意外な事実を告白する。敷石を投げてブライアンを殺すよう指示したのはシルヴェストリなのだと。
 実は、1ヵ月前、麻薬所持で捕まったトレイは、シルヴェストリに情報提供者として雇われた。シルヴェストリは、2000年にジムを逮捕した際にくすねた「Y2K」を、情報提供者への謝礼として配布。トレイも売人の名前を密告した見返りとして、「Y2K」を受け取っていた。それからほどなくして、服役を終えたジムが出所。シルヴェストリが「Y2K」をくすねたことを知っている彼は、すぐに「Y2K」を返さなければすべてを暴露するとシルヴェストリを脅迫する。これにより、シルヴェストリはジムの殺害を決意。同じく情報提供者の1人であるメアリーとともに、ジムを殺害するようトレイに指示する。そしてトレイは、仕方なくメアリーと共謀してジムの殺害に及んだのだ。
 事件は解決し、ブライアンの無実は証明されたが、アレックスの気持ちが晴れることはなかった。今回の事件に大きなショックを受けたアレックスは、死者の声を聞く時間より、生きている人間、つまりは家族と過ごす時間を増やすべきだと痛感。検視官の職を退くことに決める。ホレイショらCSIメンバーは、アレックスとの別れを惜しみつつも、彼女の新しいスタートを祝福するのだった…。

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