第10話

ヒーローの真実

 先週、「イギリス帰り以来ずっと続いているマック絡みのトラブルの新しい展開であることがわかる。これ、もう解決する気がまったくしない。絶対、次のシーズンまでひっぱるね。まだ9話目だけど、勝手に確信する」と書いたが、あっさり解決してしまった。
 潔い。
 長く引っ張ったわりにはあっさり終わったという気もするが、このスピード感は日本のドラマにはちょっとないものなので、貴重だ。
 まだ10話で、第4シーズンは道半ば。CSI内部にわだかまっていた暗い雲も晴れて、後半に期待がもてる。
 犯人の知能犯ぶりもうまく描けている。が、これだけ頭がいいなら、もうちょっと他のほうに振り向ければいいのにとフィクションながら思う。過去の記憶に縛られすぎ。

3:33の無言電話の主にいざなわれるように、単身シカゴへと飛んだマック。一方で、ニューヨークのCSIチームは、地下鉄で起きた殺人事件の現場に向かう。殺されたのは地下鉄の運転手、ケヴィン・カーマイケル。地下鉄は車両基地でで乗っ取られたと見られ、空の車両が駅を飛ばして走行しているとの目撃談が多数寄せられていた。ケヴィンは鈍器で頭を殴られた後で車両の窓ガラスに叩き付けられたらしく、遺体の上半身は窓ガラスを突き破っていた。
ステラたちは、車両内で現場検証を始めるが、いきなりドアが閉まり地下鉄が動き出す。たまたまホームに降りていたダニーは、地下鉄を止めるよう指令室に指示を出すが、遠隔操作では制御不能。車両内の緊急ブレーキも利かない状態だった。結局、ダニーがトンネル内の制御ボックスまで走り、中に取り付けられていた不審なMP3プレーヤーを破壊。ようやく地下鉄は止まり、次の駅に停車していた車両との激突を免れる。次の駅は33丁目駅、車両番号は「3」。どうやらこの事件も、3:33の無言電話の主と関係しているらしい。
その頃マックは、トリビューン・タワーの空きフロアで、天井からつり下げられたミイラ化死体と、壁に書き込まれた暗号のような文字を発見。その直後、ニューヨークのステラからの電話で、地下鉄で起きた事件が3:33の無言電話の主と関係していると聞かされる。すべての答えはシカゴにあると確信するマック。壁の暗号が「臆病者(Coward)」を意味すると読み解くと、現場を仕切るシカゴ警察の刑事ルネにこれまでの経緯を説明する。再三の無言電話、血の付いたパズルと子供用Tシャツ、トリビューン・タワーの外壁に埋め込まれたアラモ砦の石灰岩やレッドウッド・フォレストの破片…。マックの行動に不信感を抱いていたルネも、彼の話に一応の理解を示す。
ニューヨークのラボでは、リンジーが死んだケヴィンの衣服から炭疽菌のようなものを発見するが、後の調査でテロとは無関係と判明。アダムは、地下鉄の制御ボックスに取り付けられていたMP3プレーヤーを調べ、その仕組みを解明する。また、MP3プレーヤーに付着していた指紋は、データベースに該当がないものの、DNAがパズルに付着した血痕と一致することが明らかになる。
シカゴではミイラ化死体の検視が行われ、死体は約30年前に亡くなった20代の白人男性で、掘り起こされた可能性が高いことが判明。銃創があり、人差し指が切断されていたことも分かる。それを知ったマックは、死体の身元はボビー・トゥールという人物だと思い当たる。
実は、14歳当時、シカゴに住んでいたマックは、同い年のジミーと彼の兄である16歳のウィルと親しくしていた。ウィルはギャングの使い走りで小遣いを稼いでおり、マックはジミーと一緒にウィルに付き合っては稼ぎのおこぼれにあずかっていた。しかしある日、ウィルは金の届け先であるホテルの一室でボビー・トゥールとトラブルになり、彼に殴り殺されるという悲劇が起きたのだ。現場にはマックとジミーも同行していた。必死に助けを呼ぶマックの傍らで、ウィルを助けようとボビーに飛びかかるジミー。そして、ボビーとジミーがもみ合ううち、弾みで銃がマックの足下に。ジミーはボビーを撃つようマックに迫るが、幼いマックにはどうしても引き金を引くことができなかった。結果的に、ジミーがマックから銃を取り上げてボビーを射殺したものの、ウィルはERに運ばれた後、息を引き取った。
このことから、「臆病者」というメッセージは、ジミーが自分に対してあてたものだと推測したマックは、今もシカゴに暮らすジミーを呼び出す。そして、自分に送られてきた血染めの子供用Tシャツはウィルのもので、パズルに付いた血はジミーのものではないかと彼を追及。しかし、ジミーは事件への関与を否定する。マックは、ジミーが捨てたタバコの吸い殻を拾ってルネにまわす。
そんな中、シンクレア局長の指示を受けたフラックが、マックを連れ戻すためにシカゴにやってくる。マックは、ウィルの事件やジミーのことなど、すべてをフラックに説明。その直後、ジミーの吸い殻のDNAは、パズルに付着した血痕のDNA、子供用Tシャツに付着した血液のDNAと兄弟関係にあることが判明する。ということは、犯人はジミー以外の兄弟、つまり、一番下の弟アンディということになる。しかし、ウィルが殺された現場にアンディはいなかったはずだ…。
その謎を解く鍵をもたらしたのは、ステラだった。彼女は、ドリューの店で回収したパズルのピースが、なぜかニューヨークの高層ビル群のものではなく、トリビューン・タワーのものだったことに気付いたのだ。マックへの復讐の計画の一部として自分が利用されたのだと悟ったステラは、彼からもらったプレゼントをすべて調査。その結果、プレゼントに付着していた指紋がMP3プレーヤーのものと一致する。3:33の無言電話の主はドリューで、ドリューという名前はアンディを言いかえたものだったのだ!
ステラはすぐさま、犯人はドリューだとマックに連絡。マックは急遽ニューヨークに戻る。そして、ほかのメンバーたちと合流してドリューが営むビストロへ。マックの個人プレイに目を光らせていたシンクレア局長も駆けつけ、一同は慎重にビストロに踏み込む。しかし、警察の動きを読んでいたドリューは、部屋に侵入してきたマックを拉致。廃止された旧市庁舎駅の一室に連れて行き、張り巡らせたレーザーの中心に彼を座らせる。体が動いてレーザーに触れれば、自動で銃が発砲する仕組みだ。ドリューは、ドアにも銃の仕掛けを設置すると、このような行為に及んだ理由について語り始める。
実は、ドリューもウィルが殺された現場を密かに目撃していたというのだ。その日以来、ウィルが殺されたホテルの部屋番号「333」という数字とともに、その悲惨な経験をジミーにすら打ち明けずに胸にしまい込んだドリュー。ところがある日、マックがヒーローとして称えられた新聞記事を目にする。マックさえ引き金を引いていればウィルは助かったと信じているドリューにとって、臆病者のマックがヒーロー扱いされているのは許し難いことだったのだ…。
一方で、マックが拉致されことに気付いたステラたちは、ドリューが残した手がかりを捜してマックの居所を突き止めようとする。そして、例のMP3プレーヤーのプレイリストをヒントに、マックがいるのは旧市庁舎駅だと特定。シカゴから呼び寄せたジミーをドリューの説得役として連れ、旧市庁舎駅へと急ぐ。そして、マックたちがいる部屋の前に到着すると、ジミーがドリューに電話をかける。ドリューと話しながら、そのままドアを開けて部屋の中へ入るジミー。その途端、仕掛けが作動してジミーは銃で撃たれるが、防弾チョッキのおかげで事なきを得る。一方で、ジミーを助けようとしたドリューは、マックに腕を撃たれて逮捕される。本来なら射殺されて当然の状況だったが、これ以上兄弟の誰かを死なせたくないというマックの配慮から、ドリューは殺されずに済んだのだった…。

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