第9話

弔いのウエディング

 ふたつの話が描かれる。
 ますます混乱度を増していくニューヨーク。
 ひとつは、結婚式の控え室で死んでいた新郎。ど頭で、両家がいきなり殴り合うシーンがあり、驚く。両家ともセレブで、ロミオとジュリエットみたいな状況での結婚式だったらしいが、この話はそんなロマンチックな展開ではなく、捜査が進むにつれ、新郎がロクでもないやつであったことが暴かれていく。
 死体の無惨さは、ちょっと筆舌に尽くしがたいが、よく考えればそれが犯人を一直線に指し示していたことがわかる。よくできた脚本である。
 もうひとつは、裁判所から帰ろうとしたテスラが自分のクルマの上に箱が乗せられていることに気づく。爆弾処理班まで呼ぶ大騒ぎに発展したが、結果は、立体パズル。かわいそうに、アダムは黙々とパズルを組み立てる。組み上がったのは立体的なニューヨーク。血痕が飛び散っている跡、ピースがひとつ抜けているなどミステリー的な仕組みは十分。しかし、こちらは犯人に結びつくことなく、イギリス帰り以来ずっと続いているマック絡みのトラブルの新しい展開であることがわかる。これ、もう解決する気がまったくしない。絶対、次のシーズンまでひっぱるね。まだ9話目だけど、勝手に確信する。


 セントラルパークの噴水広場に設置された結婚式場の控え室で、花嫁のエマが花婿ブレットの死体を発見する。ブレットは、前日のリハーサル後に仲間のジョージたちとバーをはしごしていたようだが、その後彼の姿を見た者はいない。現場には、マック、ダニー、ホークス、フラックが到着して捜査を開始する。
一見、何の外傷も見当たらないように見えたブレットだったが、実は腹部にひどい傷を負っており、その上からエアクッションが巻きつけられていたことが判明。検視の 結果、死因は鋭器で腹部をえぐられたことによる大量出血で、傷口に携帯電話と発泡スチロールの緩衝材が詰め込まれていたことが明らかになる。現場に血痕がないことから見て、別の場所で殺されたのは間違いない。では、なぜ犯人はまるでギフトのようにブラッドをラッピングし、着替えさせてから控え室に運んだのだろうか?
その後の調べで、ブラットの靴底には、控え室前の縁石に塗られた黄色のペンキが付着していたことが判明。しかし、塗装が行われたのは朝6時で、ブラットの死亡推定 時刻より4時間ほど後だと分かり、どうやって死んだブラットが縁石を踏んだのか疑問が生じてくる。ホークスは、花婿でありながらブラットの靴が下ろしたてではなかったことに注目。ペンキを踏んだ別人が、後で自分の靴とブレットの靴を交換したとの見方を強める。また、ブラットが履いていた靴の中敷きからは、姿勢を正す矯正器具の痕跡も見つかる。
 さらにホークスは、ブラットの傷口に詰め込まれた緩衝材と、ブラットとエマの新居にあるウェディング・ギフトとの関連に着目。フラックとともに彼らの新居に向かい、部屋で血痕を発見する。どうやら、ここが殺害現場のようだ。ホークスは、ゴミとして出されていた、ブレットの血染めのシャツとズボンを回収する。
 調査は進み、ブラットの傷口から出てきた携帯電話には銀箔が付着していたことが明らかになる。ウェディングケーキにも銀箔が使われていたことから、ケータリング業者のティモシーが捜査線上に浮上。しかし、大学時代からブレットと友人だったという彼は、セレブな招待客が集まる今回のパーティーがビジネスの転機になると期待していたと語り、大事な得意客を殺すはずはないと主張する。
 そんな中、ブラットの衣服に結毛症の毛髪と花火の火薬が付着していたことが判明。手持ち花火を演出に使用するナイトクラブに、昨晩、花婿の付き添い役を務めるはずだったジョージが出入りしていたことを突き止める。後に、ジョージは結毛症で、靴に入れる矯正器具を使用していることも明らかになる。
 証拠はすべてジョージの犯行を示していたが、彼は取り調べの席でとんでもない釈明を始める。何と、友人たちとの賭けに負けたくないという理由で、ブラットの死体を控え室に運んだというのだ。昨晩仲間とはぐれたジョージは、1人でナイトクラブへ。酩酊状態でブラッドの部屋に戻り、彼の死体を発見する。しかし、婚約破棄を繰り返すブラットが今度こそ式場に姿を現すかどうか仲間たちと賭けをしていたジョージは、このままでは自分が10万ドルを支払うはめになると判断。通報もせず、ブラットをラッピングして着替えさせてから式場へ運んだらしい。とても信じがたい話だが、確かにジョージがブレットを殺したという確証はなかった。
 ダニーは、ブラットの新居にあった空のウェディング・ギフトの箱を手がかりに、ブラットを殺した凶器が金属スパチュラであることを突き止める。さらに、ブラットのズボンに付着していたネバネバとした物質は、ティモシーの息子が遊んでいたビニール風船の溶剤だと気付く。犯人は、ティモシーだったのだ。
 ダニーは、ティモシーを署に呼んで尋問。証拠を突きつけられた彼は、ブレットから受けた仕打ちについて語り始める。大学時代からブレットにいいように利用されていたこと。ケータリングを引き受けて以来、昼夜問わず携帯電話で呼びつけられ、奴隷のようにこき使われたこと。そして、式の前日になってメニューの変更を要求され、息子の誕生日を台無しにされたこと。ブレットの行き過ぎた行為に怒りを爆発させたティモシーは、金属スパチュラで彼を刺し殺し、傷口に携帯電話を詰め込んだのだった…。
 一方、裁判に出廷していたステラ。マスコミをかわして自分の車に戻ろうとした矢先、ボンネットの上に不審な箱が載せられていることに気付く。最悪の事態に備えたステラは、爆弾処理班に箱を調べさせるが、中身はジグソーパズルと判明。プレゼント攻勢をかけていたドリューの仕業だと判断したステラは、すぐに彼の元へ行き、現物を突きつけて抗議する。しかし、パズルを置いたのはドリューではないらしい。ドリューはステラの一方的な態度に怒ることもなく、せっかくだから挑戦してみようと言ってパズルの袋を破く。中から出てきたピースには、細かな血しぶきが付着していた。
 パズルを持ち帰ったステラは、すぐにピースに付着した血痕のDNA鑑定を行うが該当者はなし。リンジーは、パズルの箱の中に、石化したレッドウッド・フォレストのかけらを見つける。アダムは、出来上がりの見本図もないままパズルの組み立てに挑戦。見事にニューヨークの高層ビル群を模した立体パズルを組み立てるが、半分しか仕上がらない上に、あるビルには故意に抜き取られたと見られるピースの欠けが見つかる。ステラとリンジーは該当する実在のビルに向かい、空きフロアでパズルが入れられた箱を発見。箱のそばで、チョークで描かれた人型とトルコの有名な建築物、ハギア・ソフィアの模様が型押しされたバッグを見つける。
 そんな中、レッドウッド・フォレストを取り扱う家具店の店長、ジョン・アンドリュースが小児性愛者であることが発覚する。パズルは子供の気を引くにはもってこいの玩具。ビルの空きフロアに描かれていた人型が子供くらいの大きさだったことから、一気に彼への疑いが強まる。しかし、行動追跡装置の記録からジョンは事件に無関係だと分かり、捜査は振り出しに戻る。
 アダムは、後から見つかったピースを使って残りの立体パズルを組み立てるが、またしてもあるビルのピースが1つ欠けていることが分かる。欠けたピースに、犯人からのメッセージを読み取りたいステラとリンジーだったが、該当ビルは取り壊しの最中だった。
 その後、完成した立体パズルを目にしたマックが、深まる謎の答えを見つける。欠けている2つのピースは、マック自身にゆかりのある場所を示しているというのだ。1つ目は、マックの初めての現場。2つ目は、マックが最初に住んでいたアパート。さらに、唯一縮尺率が不正確なビルは、マックが婚約を決めたときに利用したビルだったことが分かる。犯人のターゲットが自分だと知ったマックは、3:33の無言電話の主との関連を確信。パズルに付着していた血液のDNAが、紛失後に発見されたマックのスーツケースの中に入れられていた子供用のTシャツに付着した血液のDNAと兄弟関係にあることも明らかになる。
 マックは、ステラとともに自分が婚約をしたビルの屋上へ。そこで、また新たなパズルが入った箱を発見する。中には、アラモ砦の石灰岩のかけらも。マックは、パズルを組み立てるまでもなく、完成形がシカゴのトリビューン・タワーであると見抜く(このタワーの外壁には、レッドウッド・フォレスト、ハギア・ソフィア、アラモ砦の石灰岩など、世界中の名所旧跡の破片が埋め込まれている)。そして、犯人にいざなわれるかのように単身シカゴへ。そこで、1本の電話を受ける。3:33の無言電話の主だ。「お帰り、テイラー刑事」という不気味な声が、マックの耳元に響くのだった…。

http://csi.dramanavi.net/blog/2009/03/37-9-b99c.html