バトル・ロワイヤル

 息子の部屋に「バトル・ロワイヤル」のマンガ本が転がっていた。
 コンビニでよく売っている総集編みたいなやつの三巻と四巻。
 むかし、小説を読んだ覚えはあるが、内容の細かい点は覚えていない。マンガ版は、ずいぶん情緒的な感じがする。
 小説からは、いやな感じは受けなかった。同じクラスの中学生が殺し合うという内容は刺激的だが、それが国家の仕掛けるゲームであるという設定がうまい。顔見知り同士が命令によって殺し合うのは残酷だが、じゃあ、顔見知りでなければいいのかという話である。戦争の一面が炙り出されていた。
 「父親たちの星条旗」でも、硫黄島の戦場は人の命を大量に消費する無意味な混沌にすぎなかった。その場に放り込まれた個人の驚愕と絶望がひしひしと伝わってくる。

 ところで、先日、前略プロフについて書いたとき、佐世保の女子殺人事件を検索していて、加害者が書いた小説に行き当たった。いまでも探せば読める。短いものだが、「バトル・ロワイヤル」の外伝である。自分をヒロインに仕立て、クラスメイトをひたすら殺戮していくという内容で、「そこしか見てないのかよっ」と愕然とした。

 息子がどんな思いでこのマンガを買って読んでいたのか、一度聞いてみたいものである。怖いけど。