第20話

FBI行動分析課 「スプリー・キラー」

 スプリー・キラー(Spree killer)とは、短時間の間に見知らぬ人を大量に殺す人を指す。
 spreeとは浮れ騒ぎ、お祭り騒ぎの意味。最も近い日本語は「無差別(大量)殺人」。ニュアンスはかなり遠い気がするが。スプリー・キラーの特徴的パターンは学校に侵入し大量の殺害を行うことだが、今回の事件は異なる。誘拐と溺死だ。
 今回の犯人は知能犯で社会的にも成功している。にもかかわらず、女性を攫って溺死させる行為が止まらない。
 犯人の名前も顔も分かっている。時間との戦いとなる。犯人の精神は壊れつつあり、廃人になるまで殺し続ける。
 ギデオンたちの捜査で次第に明らかになる犯人の過去。交通事故で母親を亡くし、自分も負傷した。いや、あの事故は十歳の息子が仕組んだ母親殺しだった。母親の死因は溺死。気の小さい父に代わって十歳の少年が罰を下した。
 小さな事件はいくつも起こすが父親の庇護のもと成人し、結婚。23日で離婚。
 不動産会社を起業して成功を収めるが、付き合った女性が人妻だとわかり、「不貞」に極度に反応。若い女をすべて母親と同じだと思い、溺死させようとしていたのだった。
 言い尽くされた家族の問題に収斂するわけだが、最近の日本の親族殺人の多さを思うと、対岸の火事とも言っていられない。