第11話

父の記憶


 1980年代の連続猟奇殺人事件。人を掠い、何週間か「飼った」後に殺し、バラバラにして南北戦争の史跡に捨てる。だが、被害者を五人出したところで殺人はぴたりと止まる。
 この未解決事件にふたたび光が当たったのは、大学生が続けざまに掠われ、そのバラバラ遺体がバラまかれたからだ。体のパーツにはタバコの火を押しつけたあとがある。公表はされていないが、まったく同じ犯行手口。
 どうして27年もたって事件が再発したのか。同一犯か?


 ある意味同一犯だ、といえるかもしれない。


 犯人の心の闇から発生した事件は重い。被害者以外にもいろいろな人を押しつぶす。事件を追った保安官は生活が崩壊して、退職していた。今回は、老人となってしまった元保安官が捜査に同行する。いままでの捜査手順から言えば、27年前の犯行手口を知っているこの老人も犯人候補のひとりだ。
 情報を知っているあらゆる者を疑う。そのルールを知っている視聴者は、作り手側がとくに仕掛けを作らなくても、勝手にドキドキする。うまい仕組みだ。


 三つの事件が一挙に解決して終わる。だが、まだ次の連続殺人事件の芽は残っているかもしれない。なんともいえず後味の悪い終わり方だった。ドラマとしてはすぐれているということだ。


 詳細なあらすじ