この世でいちばん大事な「カネ」の話

 西原理恵子著、よりみちパンセ。理論社。1300円。

 本書がビジネス書として売れていることにびっくり。
 商売の話なんて、書いてないんだけどね。いや、そうでもないか。
 でも、もっと切なく、切実に、生きることそのものの話が中心だ。
 章タイトルがユニーク。

第1章  どん底で息をし、
どん底で眠っていた。
「カネ」がないって、
つまりは、そういう
ことだった。
第2章  自分で「カネ」を
稼ぐということは、
自由を手に入れると
いうことだった。
第3章  ギャンブル、
為替、
そして、借金。
「カネ」を失うことで
見えてくるもの。
第4章  自分探しの迷路は
「カネ」という
視点を持てば、
ぶっちぎれる。
第5章  外に出て行くということ。
「カネ」の向こう側へ
行こうとすること。

 ここにすべての内容が凝縮されている。
 才能がないということに気づく客観性、の重要性について説いている。
 底辺には底辺の戦い方があると。
 しかし、結果的には西原理恵子はあふれるほどの才能があった。それだけがこの本の矛盾点かもしれない。
 とはいえ、★五つ。中学生、高校生必読。教科書よりずっと大切。