「ま、いくら正確に目押しができても、ビッグボーナスを揃えることはできないんですけどね」
「えー! そうなの?」
えー! そうなの? って、そんな当たり前のことにビックリしているお前に、おれはビックリだよ。
ハセベバクシンオー。宝島文庫。
第2回「このミス」大賞優秀賞を受賞したのち、改稿して出版にいたったデビュー作。
舞台となるのはパチスロ情報販売会社。
阿佐田哲也亡きあと珍しいギャンブル小説かと思って読み進むと、どうも感触が妙だ。
攻略情報を売る会社が舞台なので、パチスロに脳みそを溶かされたギャンブル狂いは電話を通じてしか出てこない。つまり、会話のみ。この距離感が新鮮だった。
ギャンブルよりもむしろ、それを食い物にする人間群像劇。後半は、かなりハードなアクションものとなる。