コールドケース3 第7話 「殺人予告」

 ITバブルの頃の話。
 1998年、エイミー・リンド、24歳で死亡。投資家からの出資を仰ぎ、医療関係のウェブサービスを展開するベンチャー企業を立ち上げ、あっという間に上場し、巨額の富を得る。
 しかし、やがて事業は傾き、倒産は確実となったある日、エイミーは湖に浮かんだボートの上で静かに息絶えていたのだった。
 病死で片付けられていた事件だったが、ベンチャー企業で使用していた中古パソコンが少年ハッカーの手に入り、殺人予告と読めるメールが復元される。
 インターネットは、ドラマの道具としてはとても扱いが難しいのだが、ここでは成功している。コールドケースというドラマ自体、過去の事件を扱うと決まっているので、「当時の」という縛りがつくためだ。
 リリーたちの聞き取り捜査で、何人かが捜査線上に浮かぶ。
 あまり頭のよくなさそうな元共同経営者(学生時代の友人)。
 自分の扱いに不満をもつ元従業員。
 凶暴な投資家。
 その秘書。
 いつものように二転三転あって、犯人が判明するが、悲しみの結末。余韻のあるラストだった。あとから考えてみるととんでもねー動機なんだけど、湖、ボート、若く才能ある女の子という美しい景色が、一瞬、どうしようもなくうす汚い動機を忘れさせてしまうのだった。
 今回の面白かった小道具。
空売り
 アメリカじゃ当たり前の概念なのか、細かく説明してもどうせ伝わらないしと思ったのか、意外と単語を口にするだけで済ませてしまった感がある。
 バブルが弾ける前に実際にこうした内部事情で潰れていった企業もあったのかもしれない。この辺、どのくらいリアルなのか、日本から観ているとよくわからない。日本でもITブームはあったけど、本場と比べるとセコいし、インチキだらけだし。
 今回の疑問。
 夜中に病人が出たら、日本なら夜間受付の救急外来に行くか、救急車を頼めばいいんだけど、アメリカではインターネットに頼るしかないんだろうか。医療現場の詳細がいまいちわからず。
 救急車を呼ぶほどの症状かどうかを確かめたい、という需要はたしかにあるだろうけど、冷静に症状を打ち込んでいくような状況は考えにくい。必要なのは電話サポートだと思うけどなあ。ネットを使ったテレビ電話システムならわかるけど、98年だとちょっと無理っぽい。