複数読みのすすめ

私は並列タイプだ。
本の読み方の話ね。
いろんなところに、読みかけの本が放り出してあって、手にすると読んでいる。
テーマというほどのものはなく、しいていうといくつかに分類できるかもしれないけど、時によって変わるのであまり意味はない。いまは、坂口安吾未来社会、貧困、仕事といった感じの本が多い。
小説が少ない珍しい時期だ。
ひとつのことに集中できないのでこんなことになってしまう。「寄らば斬るど」だが、こんな複数読みにもメリットはある。
本同士が引き合うというか、対立したり同調したりすることがある。読んでる私はただの仲介者のような感じだ。
つい先日は『評価経済社会』と『貧困の現場』が対立して面白かった。
評価経済社会』は大局観の本で、いまはパラダイムシフトの渦中にあり、一番大事なものがお金からイメージ(評価)へと移行している最中だという話。『貧困の現場』は地べたに張り付いたドキュメンタリーで、文字通り地べたで寝ているおっちゃんたちや就職できない若者のことを書いている。一冊ずつ読むより、同時に気分によって読むほうが視野が広がる感じだ。
いま読んでる『「やりがいのある仕事」という幻想』は、『評価経済社会』とよく似た認識が出てくるが、それでも、また違う視点がある。
というふうにやっていると、いつまでたってもきりがないのだ。そろそろ安吾に戻ろう。