第10話

寝台特急カシオペア殺人事件!上野〜札幌1200kmを走る豪華密室!犯人はこの中にいる!!」

 開局50周年記念元日スペシャル。
 例年の元日枠に加え、開局50周年作品ということでさぞかし大げさな作品を作ってくるのかと思えば、意外に地味な良作。
 さすがに時間が長いのでいくつかの事件が組み合わせてあるが、事件間の関連づけもうまくいき、文句なしの出来。


 東京から北海道まで走る豪華寝台夜行列車「カシオペア」。
 人気のある列車でとてもチケットなど手に入らないのだが、団体のキャンセルがあったとかで、怪しい客たちが集まってくる。この設定がうまい。
 場所は東京から北海道まで。しかも舞台は走る密室。事件の背景となる時間は約33年の長さに及ぶ。そういう意味ではたしかに大作。


 オープニングは、アミューズメントパーク。爆弾の引き渡し現場に捜一トリオが遭遇。見張っていた公安ともめる。爆弾を売ろうとしていた塚原は重体、過激派の新井田は死亡する。
 途中で金を盗もうとした男、根元は逮捕されるが、札幌署が探していた重要参考人だとわかり、特命係のふたりに護送が命令される。これが事件の発端。


 車中の食堂車での会話で、乗り合わせた乗客9人の性格や関係性をざっと把握させる演出は見事。右京は食事しながら、これらの会話を注意深く聞いている。
 事件は、クラブ経営者津山が刺殺されることから始まる。
 走行中の列車からは誰も逃げられない。
 次の駅に停車するまでの四時間のうちに解決すれば、犯人はその場で押さえられる。


 周到に練られた計算か、偶発的な事件か。ヒントもないまま、公江との会話がヒントになって重要な証拠品を押収し、食堂車に全員を集めて犯人当てをしてみせる右京。
 ここまでで十分一話分なのだが、先は長い。
 ふたりが札幌まで送り届けた根元の様子がどうもヘンだ。彼は札幌署から逃走する。なぜ彼は二度も姿を消したのか。危険の匂いを関知し、動き出す右京。
 そこへ、東京で爆発事件の分析をしていた大河内から連絡が入る。どうも取引された爆弾はひとつだけではないらしい……。


 最後に、小野田官房室長と大河内主任監察官の不気味な会話があって、長い話は終焉する。このシーズンは、まだまだ波乱に満ちた展開をするらしい。
 特番というと警察内部の問題になりがちだが、今回は推理劇の面白さで勝負した形だ。正月番組としてはとても質が高かったと思う。


【ゲスト】

役名 役者 役柄
公江 長山藍子 翻訳家
安藤 永島敏行 大学教授・教育学
仁奈子 山本みどり 安藤の妻
博貴 浅利陽介 安藤の息子
根元 柏原収史 重要証人
塚原 崔哲浩 爆弾マニア
新井田 川本淳市 過激派
ライナ 松永京子 人気モデル
国子 平岩紙 人気モデルの友人
増田 木下政治 マネージャー
羽鳥 森本亮治 無愛想な男
津島 江原修 クラブ経営


【スタッフ】

脚本 戸田山雅司
監督 和泉聖