ブレージングサドル

ただのお笑い西部劇だと思うなよ

 DVDで「ブレージングサドル」を観た。
 1974年、アメリカ。
 メル・ブルックス監督作品。
 ずいぶん昔の作品だが、このねちっこさは……つかこうへいの芝居に似ている気がする。
 構造を大事にする作家なのだ。
 開拓時代の西部。鉄道建設の現場。流砂のため、路線は大きく狂うことになる。変更予定地には、リッジ・ロックという街がある。このあたり一帯の土地を買い占め、鉄道会社に売ればどれだけ儲かることか…。知事の腹心はさっそく街をぶっつぶすためのいやがらせを始め保安官を殺す。街の要望を受け、アホの知事はさっそく新しい保安官を差し向けることにした。腹心の部下は奸計を巡らし、当時は人間と見なされていない黒人を送り込んで、街を絶望の底に叩き込むことにした。
 最悪だと思った一手が大逆転を呼んでしまい…って、これはそのまま「プロデュース」の手法ではないか。
 西部劇のパロディ、黒人差別、虚構と現実が入り乱れるメタフィクション
 当時としては斬新な笑いだったに違いない。いまみると、真似されまくって、ちょっと古い感じがするのが残念。
 メルが自分で演じる州知事は、バカを絵に描いたようなキャラクターで、このひとはほんとに権力が嫌いなんだなあと好感した。
 大統領や州知事になっちゃう人もいるんだからハリウッドも広いが、やっぱり映画人としては正しくないよね。メル・ブルックス、現在、ブロードウェイで苦戦中だそうですが、あなたのしつこさで凌ぎきればきっと大丈夫だ。なんたって、逆転人生の人なのだもの。


[メル・ブルックスの笑いと人生]
http://d.hatena.ne.jp/simonsays/20070831
[プロデューサーズ]
id:noraokapi:20070708:1183905548