M-1グランプリ2006

M-1 2006審査結果

 今日はもう、テレ朝の特番「M-1グランプリ2006」だけでおなかいっぱい。
 六時半から九時まで、二時間半にわたってネタをびっしり見られる機会がほかにあるだろうか。この企画を考え、実現した島田紳助さんに心から感謝したいと思います。
 四回、連続視聴しました。何回見ても膝を叩いて笑えるものと、くすっとも笑えないものがある。笑いは深いねえ、というような話をこれからつらつらと書いていきたいと思うものであります。

詳しい結果はここ。
半帖庵-資料:M-1グランプリ審査結果
概要はここ。
Wikipedia-M-1グランプリ

 以下、ネタばれあり。
 一番手のPOISON GIRL BANDが演じ終わって、点数が出た時のコメントで、審査委員長の島田紳助から「ここが始まりです。この点がこれからの基準点になります」という発言があったので、各コンビの成績は、総合得点に加え、POISON GIRL BANDが出した得点との差違を見ていきます。私は、コンビにも、審査員にも興味があるので、話がちょっと混乱するかと思いますが、すみません。
 変動幅は、一番低い点と高い点の高低差ですね。どの程度、点数を大盤振る舞いするかを参考値としてつけておきました。単純にいえば、大竹、南原の一点は、紳助、松本の二点分の重みがあるわけです。

POISON GIRL BAND 9位

  紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
POISON GIRL BAND 76 85 85 75 81 83 85 570
基準点との差 0 0 0 0 0 0 0 0
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

 東京吉本。略歴はこちら。
 阿部智則(あべとものり)と吉田大吾(よしだだいご)の二人組。 
 一番手にはプレッシャーがかかるというが、前半、いや、4分の3くらいまでの展開はぐだぐだだったので、評価が低いのは仕方ない。台本そのものがあかんかった。いまどき、「靴買う基準? 履けること」くらいのこと本気で思うている人間はいくらでもいるわけで、この程度では不思議ワールドは作れないし、靴にマヨネーズは壊滅的に面白くない。
 がっ。
 魚屋が出てからはどうだ。かつおを履く勇姿はどうだ。爆笑ではなかったか。このコンビの潜在能力は高い。その辺をもうちょっと買ってほしかった。「9位はないやろ…」と思うのである。安藤美姫かてジャンプでこけるやないかい。

 可能性があるのは、平均的な面白さより、部分的に突出した面白さである。「テンション低め」「ナンセンス」という二重苦を抱えるPOISON GIRL BANDだが、この二点が武器となったら強い。はずである。たぶん。なんか弱気やな。

 島田紳助の76点はいくらなんでも……と思ったが、逆に最初のPOISON GIRL BANDは80点くらいを想定していたのかもしれない。それがあの不覚で「あかん。点減らそ」となったのか。
 辛めの印象がある大竹まことの83点スタートがちょっと意外。ナンセンス担当、だからかしら。

 POISON GIRL BANDは、面白い面白くないにかかわらず、将来にわたって異端の漫才であり続けるに違いなく、それを是とするか非とするかが、点数から読み取れる。というか、勝手に読み取ってしまおう。
 肯定派は松本人志南原清隆中田カウスであり、否定派は島田紳助渡辺正行である。大竹まこと島田洋七は中立的な立ち位置。

フットボールアワー

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
フットボールアワー 90 90 94 90 91 89 96 640
基準点との差 14 5 9 15 10 6 11 70
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

 後藤輝基(ごとうてるもと)と岩尾望(いわおのぞむ)のコンビ。
 略歴はこちら。
 すでにM-1グランプリ2003に優勝し、テレビでの人気も安定しているのに再チャレンジ。一度優勝したコンビは出ないという暗黙の了解を破る。最終決勝戦に残らなければ面目が立たないという厳しいプレッシャーの下での二番手。
 最初のネタは、「フットボールアワー戦隊」。戦隊ものはありがちなネタなのに、むちゃくちゃ面白かった。主題歌だけで処理するアイデアははじめて見た。ぐいぐい展開するし、しょうもないことも言えるし、後藤のきめ細かい突っ込みも光る。
 4分という時間制限があるから、どうしても無駄をなくす方向に走りがちなのに、前奏の部分での野放しは観ているこっちが不安になるほど凄かった。
 ホテルにチェックインする時は面白すぎて、どうしようかと思った。
 必殺技は、お決まりの挙動不審が出たが、これだけ笑わせてからならもうなんでもええわという感じ。
 膝を叩いて笑ったが、出てきた点数はそれほど高くはない。
 島田紳助松本人志も同じ90点だが、意味合いは異なる。
 紳助の基準点は76点。プラス14点。それに対し、松本の基準点は85点でから5点しか足していない。紳助は面白ければそれでええタイプ、松本は条件を総合的に勘案するタイプなのかなあと思った。唯一90点台をつけていない大竹まことは怒っているのかと思ったが、変動幅でみるとそうではないことがわかる。狭いレンジで点数をつける人だったのだ。
 表をざっと一覧した限りでは、松本がそうとう厳しい評価を下している。変動幅と基準点との差でみると、南原清隆中田カウス渡辺正行は絶賛に近い。ここでは紳助と渡辺政行がほとんど同じ点数を出していることにも注目しておこう。
 松本は「後藤君ねぇ、つっこんだ後『どや顔』で僕を見るのはやめてもらいたい。まあ自信もあったんでしょうけど。いや、でもよかったですねえ」とコメントし、後藤は苦笑するしかなかった。

ザ・プラン9

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
ザ・プラン9 83 80 89 80 90 82 93 597
基準点との差 7 -5 4 5 9 -1 8 27
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

麒麟

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
麒麟 88 87 91 89 92 86 94 627
基準点との差 12 2 6 14 11 3 9 57
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

トータルテンボス

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
トータルテンボス 87 90 88 85 90 83 90 613
基準点との差 11 5 3 10 9 0 5 43
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

チュートリアル

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
チュートリアル 97 95 95 90 98 92 97 664
基準点との差 21 10 10 15 17 9 12 94
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

変ホ長調

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
変ホ長調 82 75 84 79 85 83 88 576
基準点との差 6 -10 -1 4 4 0 3 6
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

笑い飯

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
笑い飯 89 89 92 85 90 89 92 626
基準点との差 13 4 7 10 9 6 7 56
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

ライセンス

ライセンス

紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
ライセンス 85 85 90 88 89 83 89 609
基準点との差 9 0 5 13 8 0 4 39
変動幅 21 20 11 15 17 10 12

まとめ――審査員の好みを数字から見る

 審査員は七名。選考は一人100点の点数を持って評価する方式です。
 冒頭のグラフをみていただくとよくわかりますが、審査員によって、点数にはバラつきがあります。しかし、折れ線グラフにすると、少なくとも、山と谷が二つあることははっきりわかります。山が「チュートリアル」と「フットボールアワー」、谷が「POISN GIRL BAND」と「変ホ長調」です。
 しかし、 島田委員長のいう「基準点」を中心に細かく観ていくと、もうすこし多くのことがわかります。以下に「POISN GIRL BAND」の得点を0とした場合の、各コンビの得点差を表にしてみました。赤色がついているのは各審査委員のベスト3で、色が濃いほど上位です。マイナスになってるものは青で表示しました。
 

  紳助 松本 南原 渡辺 洋七 大竹 カウス 合計得点
POISON GIRL BAND 0 0 0 0 0 0 0 0
フットボールアワー 14 5 9 15 10 6 11 70
ザ・プラン9 7 -5 4 5 9 -1 8 27
麒麟 12 2 6 14 11 3 9 57
トータルテンボス 11 5 3 10 9 0 5 43
チュートリアル 21 10 10 15 17 9 12 94
変ホ長調 6 -10 -1 4 4 0 3 6
笑い飯 13 4 7 10 9 6 7 56
ライセンス 9 0 5 13 8 0 4 39
基準点 76 85 85 75 81 83 85 570