聖なる黒夜

 「聖なる黒夜〈上〉」、「聖なる黒夜〈下〉」(柴田よしき)、読了。
 あるところ(新宿だけど)に、たいへん頭の切れる、残虐で、用心深いヤクザがおりました。彼は自分の帝国を築きあげる野望をもっておりましたが、ホテルのバスルームで喉をかっきられ、あっけなく死んでしまいました。さて、彼を殺したのは誰でしょう。また、彼が残した「金の卵を生む鵞鳥」は、ぶじ彼の意志を継ぐことができるでしょうか。
 という物語。
 これだけで上下巻1200ページを書ききるというのはある意味凄いが、ホモシーンのオンパレードでまいった。ノワール小説を読もうと思って、やおいに当たってしまった感じ。
 いいですよ、ヤクザにホモがいたって。それがリアリティを損なうとは思わない。しかし、取り調べるほうも含めて関係者のほとんどがホモって、それはどうなんだ。正確には「含む、バイセクシャル」であって、そこの部分は勉強になったのだけど、それにしてもホモシーン多すぎ。
 ちなみに、個人的にはゲイという言葉がいいんじゃないかと思っているんですが、本書では男を「ホモ」「ヘテロ」「バイセクシャル」に分類しているので、その表記に従いました。
 この小説はきっと女子に受けているんだろうなあと想像してみる。

 あと、柴田よしきの文章ってぜんぜんひっかかりがないんですね。それはうまい、達者、職人芸ということでもあるのだけど、ちょっと私の好みには合いませんでした。まあ、これは趣味の問題だから文句をいっても仕方がない。