電書に似合うコンテンツ

電書には、どんなコンテンツが似合うだろうか。
注目しているのは、インタビュー、聞き書き、対談など、音声を加工するタイプのコンテンツである。
自分の得意ジャンルだからということもあるが、スピード感をもって作れる、イベントと組み合わせられる、本を書かない人を巻き込める、著名人とも接触しやすいなどのメリットがある。
こんなことを思ったのは、株式会社グレイプス発行の『国家を考える ZINCLO!BLUE 001 橋本治』を読んだからである。たしか病床にあるはずの橋本治へのロングインタビューだ。
いま橋本治が国家論を語るというのは、たいへん刺激的である。
株式会社グレイプスとは、どんな会社だろうと思って調べてみたら、どうも小学館のデジタル部門が作った組織のようだった。代表の高橋芳明という方が小学館の人だ。
出版社も、小さな会社を作って紙では出さないという取り組みを模索しているんだな。
ZINCLO!BLUEZINCLO!というのは論客がテーマを語るというシリーズでまだ既刊は二冊。ZINCLO!REDというのもあって(こちらがむしろ主体のようだが)、人物クローズアップのシリーズである。ラインアップが寒々しくてとても読む気にならない。もうちょっとなんとかならなかったのか。でもまあ、今あるものにとらわれず、人物クローズアップで一冊というのはありだなと思う。
電書はとりあえず「個人発の電子データ」と定義しているのだけど、これからはインターネット上にだけ存在する電書レーベルも含めて考えよう。