第17話

ダンサー Shuffle, Ball Change

 「ケンジントンにダンスは似合わない」

 頭の中に刷り込まれて一生抜けないだろう。そういう街なんだ、とアメリカに行ったことがない人間としては思うしかない。

 そんな街に生まれたダンサー志望の16歳、母は亡くなり、父と兄と三人でスーパーマーケットで仕事をしている。
 兄は、ケンジントンに似合うレスリングの強化選手。

 ダンス教室の教師、そして恋人役のダンサーが最高だった。踊れてダンスのできる役者は山ほどいるわけで、だから生まれた一作といえる。ほかの国ではこうはいかない。アメリカは国家としてはくそったれだと思うが、エンターテインメントはやはり凄い。

 ラストは驚愕の一言につきる。誰が、ではなく、何故、という部分で。一瞬の叩きつけるような逆転。完成度の高い脚本だった。
 客演の役者がよく、話もいいとなると、どうしてもリリー・ラッシュの出番はなくなる。刑事としても前面に出てくるのはジェフリーズだ。

 主演のリリー・ラッシュが遠景になるほどこのドラマは輝く。皮肉な構造である。



 ケンジントンの場所を調べていて、世界中にこの地名があることに驚いた。このドラマのケンジントンはもちろん、フィラデルフィアの街区。




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