第8話

スティーヴン・キング 8つの悪夢 「いかしたバンドのいる街で」

 夫婦が旅をしている。夫はプログラマー。新しい街に引っ越すために、わざわざ車で遠距離をつっきろうとしている。
 ふだんインドアの夫はやたら冒険気分で地図に載っていないような道に踏み込んでいく。ほんとに道に迷ったとき、妻がキレて「あなたは人に道を尋ねたことがあるのっ」と絶叫する。どこの国でも同じようなこと言ってんだなあとおかしかった。
 泥道の果てに突如、キレイに整備された「ヘブン」という街があらわれる。
 ありえねーと思うが、広大な土地をもつ車社会のアメリカならあるいは、と思わせるところがうまい。
 そのあとは、ロック話になる。ロックスターをよく知らない私にはちょっとつらい展開だった。

キム・デラニー、スティーブン・ウェバー
監督:マイク・ローブ

 全8話を見終わって、やはり初日が一番優れていた気がした。
 第1話「バトルグラウンド」は文句なしの面白さ。筒井康隆の有名なセリフ「説明はないのじゃ」を思わせる。説明がなくてもいいのだ、これだけずっと面白く見せることができたなら。
 第2話「クラウチ・エンド」も、土地にまつわる不気味さがたっぷり出ていた点が素晴らしい。すぐそばにある異次元というテーマは、45分で描くミニドラマとしては秀逸。
 第3話「アムニー最後の事件」は、作家がうまいくいかない現実を見捨てて自分の作品世界に入り込む、といういかにもキングらしい小品。ハードボイルド探偵の万能感がうまく表現されている前半が秀逸。
 ということで、この三本が私のベスト3でした。