「キサラギ」(2007日本)は、アイドルファンを描いた映画である。コミカルだが、ミステリーとしての筋が通り、最終的には人間のちっぽけなプライドを肯定するヒューマンドラマでもある。
とても舞台的な作品。同じ部屋、連続する時間の中で進む対話劇。
映画としては地味な画面だったなあ、と思うのは、観終わってからのことで、観ている間は気がつかない。
脚本、演出、いずれも素晴らしい。佐藤祐市監督は「僕の生きる道」の演出にも加わっていた人(「今週、妻が浮気します」もやっていたのだが)。脚本の古沢良太は、一般的には「ALWAYS 三丁目の夕日」が代表作だが、私にとっては「相棒」シリーズの作家である。
五人の出演者は、
| 家元 | 小栗旬 |
| オダ・ユージ | ユースケ・サンタマリア |
| スネーク | 小出恵介 |
| 安男 | 塚地武雅 |
| イチゴ娘 | 香川照之 |
家元の小栗旬がねえ、よかった。スネークの小出恵介の軽みもいい。イチゴ娘の香川照之に至ってはなんといってよいやら。塚地はまだちょっとキャラクターと見た目で使われている気がする。ユースケ・サンタマリアはこんなにちゃんと演出されたのは初めてじゃないのという気がする。
一番の勝因は脚本だろうか。単なるくすぐりとしか思えないエピソードもちゃんとあとにつながっていく。キサラギ オフィシャル・ムック
個人的にはたいへんな良作だと思う。現在は小さなスクリーンで細々と上映しているが、拡大公開してくれたらもう一度観てもいいかなあ。
