赤い月

 ふだん日テレは観ない。チャンネルを「太田光の私が総理大臣になったら」のままにしておいたら、なにか、絵のきれいなドラマが映った。最初はぼーっとしていて、映画だと気づかなかった。
 途中で、ふと「赤い月」ではないかと思った。満州からなかにし礼を連想し、はっと気づいたのだった。

 どうして映画だと思ったのだろう。
 フィルムの質感とか、そういうことではないと思う。いくらファイルで撮っていたって、映っているのは液晶モニターなのだから。
 引きの絵であっと思ったのだとおもう。
 満州大陸を映すための、遠景がすばらしかった。列車が大地を通り過ぎていく。
 テレビドラマは小さな世界ばかりを切り取るから、映画の異質さが際立つのだろう。映画はたとえ小さな世界を見つめていたとしても、絵作りは広い。
 常盤貴子がとても美しかった。
 あと、ロシア人のスパイ(エレナ・ザハーロヴァ)も。

【STAFF】
監督:降旗康男
原作:なかにし礼「赤い月」(新潮社刊)
脚本:井上由美子 / 降旗康男
撮影者:木村大作
【CAST】
常盤貴子(森田波子)
 人妻。
伊勢谷友介(氷室啓介)
 陸軍情報将校。
香川照之(森田勇太郎)
 夫。会社経営。
布袋寅泰(大杉寛)
 陸軍中佐。

詳細なキャスト
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD35744/cast.html