プロフ

http://prs1.cgiboy.com/
 日本経済新聞2006年12月18日夕刊13面に、「プログのケータイ版『プロフ』」という記事が載っていた。
 一見、Webサービスの紹介にみえるけど、見出しを見ていくと、思いきり否定的である。


 はまる子ども
 難題抱える親
 
 「情報流出も」、危険性教えて
 
 定額料金に変更
 
 他人も閲覧可能
 ということでだいたい察しがつくと思うのだが、プロフは携帯から簡単に作れるコミュニティーサービスの総称である。具体的にはCGIBOYの「前略プロフィール」のことを指していると思われる。

 前略プロフィールのトップページにはこう書いてある。


 個性を主張した楽しい自己紹介が、ナウい!ぜひ、ここぞとばかりに自己主張して、あなただけのプロフィールを作成しませんか?>ALL
 PCからも利用できるが、中心は携帯。ということで、主なユーザーは小、中、高校生あたり。
 「オレんとこにカキコするならあんたもプロフ作れよ」とか、「来たらかならず足跡残していけ」という若年層特有のつながりたがり文化を根底にして、異常繁殖している。

 この状況をみて、私はすぐに佐世保の女子殺傷事件を連想した。小六の女子が学校で同級生の首を切った事件。真相はわからないにしても、仲の良かった同級生同士の諍いを増長したのは、子どもたちをターゲットにしたコミュニティサービスの「カフェスタ」だったと言われている。ここもつながりたがり文化を利用したずいぶん悪質なサービスだが、まだ堂々と営業しているのはどういう神経なんだかよくわからない。

 前略プロフィールカフェスタの悪意をそのまま携帯に移行したようなサービスだ。若年層は、「携帯」と「ネット」を自分たちの文化だと思っている。それはまぁそうかもしれないが、携帯を通したつながりを教室の休み時間の延長のように考えるのは間違いだ。

 たとえば。
 休み時間。教室の隅に四、五人の男女が集まってこそこそ話をしているとしよう。そこに子どもの面をかぶった中年のおじさんがやってきて輪の中に入り、「うんうん。もっと相談にのったげるからさぁ、放課後、カラオケに行こ」とか言い出したら、たいへんな騒ぎになるだろう。
 でも、前略プロフィールは現実にそういう光景を作り出してしまっている。メールアドレスさえあれば、誰でも登録できてしまう。性別、年齢、偽り放題であり、確認の手段はない。
 規約に禁止行為として「本サービス登録時に、虚偽の届出をする行為」が挙げられているのだが、確認はいっさいなかった。
 さらに、免責として「本サービスの利用に基づき、ユーザー相互間又は第三者との間で紛争を生じた場合は、当該ユーザーが自己の費用と責任において解決するものとし、当社は一切の責任を負いません」とあり、その上、「当社は、第5条に定めるとおり、適当な措置をとることができますが、その義務を負うものではなく、措置をとらなかったことにより第三者に損害が発生しても、一切の責任を負いません」ともいう。

 前略プロフィールは無料サービスであり、収益源は広告だ。メインターゲットである小学生、中学生、高校生に消費者金融の広告など有効であるはずがなく、この業者の意図は明白である。

 1.子どもたちに自分たちの領域だと勘違いさせる
 2.子どもをエサに大人を誘い込む
 3.大人相手に広告で稼ぐ

 日経の記事には、NTTドコモモバイル社会研究所の調べた「中高生が携帯で利用している主なサイト」というグラフが引用されている。それによると、着メロや着うたは95%近い高率であり、壁紙、ゲームが80%弱、プロフや掲示板、チャットなどが40%弱、検索が30%強、出会い系が5%程度だ。出会い系の利用率5%という数字を低いといっていいかどうかよくわからないが、実際には3人に1人が利用する勢いのプロフサービスが「潜在的出会い系サイト」の役割を果たしている意味は重い。

 記事の中で言及されている「定額制」の指摘は重要だ。子どもが携帯でネットをしまくる→料金高騰で親激怒→定額制に変更する→料金が上限8000円程度で落ち着く→親が子どものもうひとつの世界に無関心になる、という流れを作り出しているからである。

 最後に、ネットにこういう落とし穴を仕掛け、広告で稼いでいる企業がどこなのかを書いて終わろう。

 楽天である。