赤ちょうちん

 1974年、日本、日活の青春映画。
 ヒットしていた「神田川」から一本の映画を作り上げるという、藤田監督の得意技。秋吉久美子のデビュー作でもある。秋吉久美子は小顔で、めちゃくちゃ美人で、スタイルがよくて、いまならちょっと小西真奈美にかぶる感じ。
 私にはあまり懐メロとかオールデイズという感覚がなくて、時代と音楽が結びつくということがなのだけど、これはさすがに。
 南こうせつの「神田川」はたまらんなあ。
 新宿副都心、まだ高層ビルが三つくらいしか建ってない。ああ、このへんのから撮ってるなあとアングルがわかったりして。一時期散歩コースだった。
 ところで、藤田敏八監督って脱がし屋? 秋吉久美子が脱ぐ、脱ぐ。すごいよね。ただ裸が見えるってなもんじゃないからなあ。
 最初は、貧乏で、なんの希望もない男の「勝手にしやがれ」かと思ったが、ラストの切なさはたまらない。
 狂気にいたる説明がないのもすごい。理由らしきものはふたつほどあるが、あれはどんはいったい精神異常なのだろう。
 シリアスですよこれ。
 見終わってしばらく、悲しさで心が痺れたようになる。


【キャスト】

役名 役者 役柄
久米政行 高岡健 若い男。22歳
霜川幸枝 秋吉久美子 九州から出てきた女。17歳
中年男 長門裕之 正体不明の男
牟田修 河原崎長一郎 政行の同僚
幸枝の兄 石橋正次 幸枝の行方不明の兄
利代子 横山リエ 幸枝の同僚
ミキ子 山科ゆり 修の女
広村ヒサ子 中原早苗
吉村クニ子 悠木千帆 悪意のある管理人
深谷ウメ 三戸部スエ
松崎敬造 陶隆 葛飾の借家での隣人
松崎文子 南風洋子 その妻
松崎進 山本コウタロー ちょっと頭の弱そうな息子
管理人 小松方正 最初のアパートの管理人


【スタッフ】

監督 藤田敏八
製作 岡田裕
脚本 中島丈博桃井章
企画 栗林茂
撮影 萩原憲治
音楽 石川鷹彦
美術 山本陽一
編集 井上治
録音 紅谷愃一
スチール 浅石靖