ホステル2

 「ホステル2」を公開初日に観てきた。クエンティン・タランティーノのプロデュースで大ヒットした「ホステル」の続編。監督も同じ、イーライ・ロス
 新宿K's cinemaは狭いミニシアターなので、客席は満員。ロビーにはTシャツが飾ってあった。Helpだけでいいのにわざわざ「助けてっ」と書いてあるのに苦笑。
 この映画を観に来たのは、ロジャー・バートとリチャード・バージという「デスパレートな妻たち」のコンビが出ていたため。ホラーやスプラッタは本来、苦手。見終わった後、食らったダメージは甚大で、夕方に観たのに夜まで気分が悪かった。
 CSIシリーズやクリミナルマインドが好きで、生理的にえげつない描写や理由なき殺人には慣れているかと思ったが、ぜんぜんダメだった。考えるまでもなく、死体を調べるのと死体を作るのでは、まったく話が違う。
 「ホステル2」は一言でいえば殺人ゲームの話で、キャッチコピーは「私の命、売ったのは誰だ。」。よくできたコピーで、そういうお話です。意外性も用意されているが、映画を見慣れた人なら、まあ、読めるでしょう。
 公式サイトにあるあらすじ。

 ローマに留学中の美しいアメリカ人女子大生、ベス(ローレン・ジャーマン)とホイットニー(ビジュー・フィリップス)は、休暇を使ってヨーロッパ旅行を計画する。出発の日、ベスがホームシックで泣いていたローナ(ヘザー・マタラッツォ)を一緒に連れだし、3人での旅行がスタートする。
 プラハ行きの列車の中で、美術の時間に出逢った美しいモデル、アクセル(ヴェラ・ヨルダノーヴァ)から、天然のスパの情報を聞いた3人は、早速行き先を変更、スロバキアへと向かう。
 プラハ行きの列車の中で、美術の時間に出逢った美しいモデル、アクセル(ヴェラ・ヨルダノーヴァ)から、天然のスパの情報を聞いた3人は、早速行き先を変更、スロバキアへと向かう。
 ブラティスラバという街のホステルにチェックインした3人は、街の祭りに参加する。
そこでローナは人生で初めて、男性にダンスを誘われるのだった。ベスの静止も聞かずに有頂天でその男とボートに乗り込むローナ。
 一方、ホイットニーは早速お目当ての男性を見つけ、こちらも大盛り上がり。そんな2人を見ながら、一人ビールを飲んでいたベスを一人の男がダンスに誘う。断った彼女に、「助けてあげようと思ったのに」という不可解な言葉を残し、男は去っていく。
 ローナは帰ってこない。心配しつつも、ベスは泥酔したホイットニーを連れてホステルへと戻った。
 3人のパスポートを受け取ったホステルのフロントは、秘密の地下室へと向かう。
 パスポートの写真をスキャンし、全世界の会員たちに配信する。ビーチで、ゴルフ場で、自宅で?パソコンや携帯を使い、次々と値段を吊り上げていく会員たち。
ゴルフ場のアメリカ人がガッツポーズをした。落札したのだ。
 友人のトッド(リチャード・バージ)から電話がかかってきたとき、スチュアート(ロジャー・バート)は妻と2人の子供と朝食をとっていた。トッドがオークションで“獲物”を落札したのだ。電話をしている間に、「行って来ます」も言わずに家を出て行く妻と子供。切り終えた後、全員の皿を片付け、出かけるスチュアート。2人の行き先は、もちろんブラティスラバだった。
 「未知なる体験を」と意気込むトッドとは反対に、どこか乗り気になれないスチュアート。いやいやながらも「エリート・ハンティング」の規則である、ブラッド・ハウンド犬のタトゥーを入れ、来るべき日に備える。

 このあとは怖いですよ、ほんとに。
 この映画のキモになっているのは、意外にもローナ(ヘザー・マタラッツォ)かもしれない。3番目にクレジットされているのもよくわかる好演です。この人がいないとこの映画の世界観が成り立たない。
 とりあえず、観終わったあとの感想は「外国、行きたくねえ」でした。なんでもありの世界、ほんとにあるかもしれない。
 この映画、珍しく「視点」がふたつあって、女性はベス視点で、男性はスチュアート視点で観るんじゃないかな。どちらにしてもつらいことに変わりはありませんが。
 映画としては、起承転結がきちんとしていて、役者もうまい。ショックシーンの連続でつないでいくような種類の映画ではなかった。
 しかし、人はなぜ人を殺すのかを考える映画でもない。
 ただただ、心が痛くなる。

追記
 一晩寝てよく考えたら、「殺人は金持ちの道楽である」ではなく、「殺人は金持ちの道楽ではない」とも読めることに気づいた。土地。地域。領域。その怖さがまた格別だ。