明日の記憶

 日曜洋画劇場で「明日の記憶」(2006日)を観る。これは映画館で観たかったな。
 家族三人がリビングに集まるのも珍しい。
 期末試験を間近に控えた息子はなにを思ったのか、部屋にも戻らず、渡辺謙の演技をじっと見つめていた。
 五年前、MRI検査を受けて「脳が薄い。70代の脳です」と言われた私にとってはまったく冗談じゃない内容だった。

 キャスティングされた俳優がみんな全力投球しているようで、密度が濃い。
 脚本も見事で、ラストの10分は、美しく、切なく、泣ける。アルツハイマーの進行を止めることはできないから、話の展開の幅も限られてくる。その中でこの幕のおろし方はちょっと尋常じゃない。
 砂本量は「相棒」も書いていた。2005年12月21日没。映画の完成も待たずに亡くなったことになる。残念でならない。